灯油屋

2022/11/01

 灯油屋の音楽を聴くと、冬が来た気分になる。灯油は買ったことはが、なんだか懐かしい音楽だと思う。

 何度か引っ越しをしているけれど、どこで聴いた灯油屋の音楽も同じ記憶なので、灯油屋の音楽も一つしかないのだろう。夕方は大抵家にいるから、灯油屋の音楽はどこからともなく流れてくるし、どのような自動車からどのように流れてきているのか掴みどころがなく、とても漠然としている。

 今どき灯油を買う人などいるのだろうかと考える。灯油屋は実在せず、灯油屋の音楽だけが存在している状況なのかもしれない。概念としての灯油屋。これから段々寒くなる。